クーデレ君と微妙な関係

「えっとね…」


何をされたか、何があったかは鮮明に覚えている。


でもそれをいざ話してごらんと言われると、難しいものがある。


「まず、私が先生に頼まれた仕事を一人でやってたところから話は始まって」


ゆっくり言葉を選んで、事実だけを話した。


全てを話し終わったとき、


「あー、そういう事かー」


もう聞いてらんないとでもいう風に、七ちゃんが腕を高く上げた。


「えらく豪快な伸びだね」


「ごめん、十波。あたしの考えが外れてた」


私のツッコミなんて全くの無視。


「新也くんはね…ただのクールじゃなくて、」


「ただのクールじゃない?」


「そう、クーデレっていうカテゴリに入る珍しいタイプなんだよ」


クーデレ?そんなジャンル初めて聞いたな。


「ちょっと詳しく教えてくれない?」


「えー、自分で調べなよ。てかあれだけ分かりやすい例なんて他にないと思うんだけど…」


そんな事言われたって…。


「分かった。じゃあ頑張る…」


「うん、それでこそあたしのカワイイ十波だ。」


「お前のものになった覚えはない!」


そう言って、七ちゃんのメロンパンを奪ってやった。