わかってた。新ちゃんがそうやって答えるってこと。


さっきまで震えていた足はいつの間にか動かなくなっていて。


新ちゃんが私からそっと離れた。


「じゃあ俺のものになってよ。彼氏いないんなら別にいいでしょ?」

「……」


全然、よくなんかない。

だめだ、…涙浮かんできた…。


「私…好きな人がいる。彩葉じゃない…好きな人が」


体が、一気に熱くなる。顔も、耳も、全部。


その人がいないと生きていけないくらい、私はその人のことが好きなの。だから…


「ふぅん。ま、別にいいけど。そんなことだろうと思ってたし。じゃ、今日はバイバイ」


「え…っ…」


案外さらっと身を引くもんだなって。もっとかみついてくるかと思ってた。