クーデレ君と微妙な関係

「何してんの、十波」


「そっちこそ…何でここにいるのさ、新ちゃん」


学校指定の黒を基調としたジャージに身を包んだ新ちゃんが、不思議そうな目でこっちを見つめてくる。


「オレは…忘れ物。」


やっぱり。


「そ、サッカー頑張ってね。」


(ちょっとそっけなかったかな…?)


言ってから後悔した。


小学校のときからサッカーが大好きだった新ちゃんは、高校でもサッカー部に入ったらしい。


紅真くんが教えてくれた。


「てか、何そのプリントの山」


作業を続けながらも激しい後悔に苛まれている私に、気づくはずもなく。


つかつかと歩み寄ってきて目の前の椅子にすとんと腰を下ろした。


「あれだろ、どうせ担任に頼まれたんだろ?」


目の前にやっと意地悪く笑う、整った顔。


(あれ…全然話しにくくなんか…)


一瞬、目の前にいるのが誰なのか、



分からなくなった。