クーデレ君と微妙な関係

──コンコン。


「…?はい」


「誰かいるの?」


ノックの後に聞こえてきたのは女の子の声。


「あ、小松さんか。びっくりした…」


「そう、ごめんね。」


四谷(よつや)さん…だっけ?


「どうかしたの?」


「ちょっと忘れ物しちゃってさ。小松さんは何やってるの」


「先生に仕事頼まれちゃって…」


てへっと笑ってみせる。


(頼む、手伝ってくれ!)


私の努力も空しく、


「そっか、大変だね。わたしこれから彼氏と約束あるからごめんね、手伝ってあげられなくて…」


「ううん、いいよ。彼氏と仲良くね」


にっこりと笑って、去っていった。


彼女が出て行った教室に、また一人取り残される。


『彼氏と約束あるから』


さっきの台詞が頭から離れない。


「そっか…彼氏いるのが普通なんだもんな…。」