旅館まで行くための車は、七ちゃんのお兄さんが出してくれた。
「お兄さん、もう大学生だったんですね…時間の流れって早いです」
「そんなことないよ。十波ちゃんだってついこの間まで小さかったのにね」
「十波のサイズは変わってないでしょ。兄ちゃん、テキトーなこと言わないの!」
会話が途絶えることはない。若干1名を除いて。
「新也くん、だっけ?さっきから静かだけど起きてる?」
「起きてます。ちょっと疲れました」
まだ始まってないのに、何が疲れただよ。
「ていうか、お兄さんかっこいいですね!」
いきなり頭の上に誰かの手が乗ったと思ったら、私の後ろから身を乗り出していた紅真くんのだった。



