「わぁ…すごい…」


広い、とにかく広い。


そこに足を踏み入れると、異世界が私を待っていた。


「ちゃんと前見て歩けよ」


私が忙しなくあたりを見回している間にも、新ちゃんはどんどん足を進めていた。


立ち止まったのはアクセサリーショップでも、小洒落たカフェでもなく。


「本…屋?」


「丁度参考書が終わって、新しいの欲しいなと思ってたんだ。
お前の方が頭良いし選ぶの手伝って」


確か、今新ちゃんが使っている参考書も私が選んだものだったっけ。


「いいよ。私も欲しい本あったし、ついでに手伝う」


大型書店とだけあって、さすがの品揃えだった。


普段から本屋で本を眺めたり選んだりするのは楽しいけど、今日はいつもより楽しい。


たぶん、私の隣にいる人のおかげ。