私をチラッとだけ見て、表情一つ変えずに言う。


「そうかな…?割と普通だと思うけど」


「そういうときはそうだねって言うんだよ」


ぺち、とデコピン。


「はいはい、気合入ってますよーだ!」


子供っぽくベーと舌を出す。


なんだそれ、と鼻で笑われたけどこの際そんなことはどうでもいい。


「ほら、行くぞ。お前迷子になりそうで怖い」


まただ。涼やかな表情を崩さずに、私の手を取った。


「別に手なんて繋がなくても大丈夫だよ。新ちゃん過保護すぎ」


「お前の言うことなんざ信用できん」


ずっと目の前の背中ばかり見て歩いていたから、誰かに肩がぶつかってしまった。


「ほらな。大人しく繋がれてろ」


「…はい」


目的のショッピングモールまでは少し距離がある。


歩いていくのも楽しいと思って、徒歩を提案したけど。


ちょっと、思っていたより恥ずかしいかも…。