クーデレ君と微妙な関係

観客の視線が痛いくらいに感じられる。 


(あの子、確か隣のクラスの…)


いつもは全然気にならないのに、下にばかり目が行ってしまう。


「おい、どこ見てんだよ」


新ちゃんが放った言葉にドキリとした。


(あ、違う。これセリフだ…)


自分だけを見ていてほしいのに、私がどこかに行ってしまいそうになったから。


「私は、ずっと君のそばにいるよ」


集中が深くなり、段々と視界が狭くなっていく。


劇なのに、自分のことのように思えてくる。


(これ終わったら、新ちゃんなんて言ってくれるかな…)


褒めてくれるかな、それとも余所見してただろって叱られるかな。


「あたしは、君のことが好きだから」


あとりちゃんの凛とした声が響く。


(劇だから…、嘘だって分かってるのに…)


そのセリフを他の人が新ちゃんに言っているのを聞いただけで、


なんでこんなにも胸がチクチクするのさ…。