「何だったんだろうね…。大丈夫かな」


あまりにも突然のことすぎて、何が起こったのかイマイチ分からない。


ざわめきだけを残していった彼女の瞳には、うっすらと涙が見えた、ような気がした。


「私、ちょっと行ってくる!」


「え、十波!」


七ちゃんの制止も聞かずに、早歩きであとりちゃんとの距離を縮める。


縮んでいるかは、分からないけど。




「あとりちゃん!」


少し息が切れ始めたとき、中庭の木の下にもたれ掛かっている女の子を見つけた。


「なんで…あんたが来るのよ」