クーデレ君と微妙な関係

どちらからともなく顔が近づいていき、新ちゃんがあとりちゃんの腰に手を回す。


2人の唇が…重なることはなかった。


「はい、オッケー。本番はここでキスしてね」


監督の子がメガホンをパン、と叩く。


監督らしさの演出だろうか、帽子までかぶっている。


「ほんとは今してもいいんだけどなぁ」


あとりちゃんがプーと口を膨らませて、監督の方まで歩み寄っていった。


「本番一発の方が気合入るでしょって、新也くんの提案。」


そう、なんだ。


新ちゃんがそんなこと言ったんだ。


2人がどんなキスをするのかな、なんて考えると、不意に昨日のことが頭を掠めた。


「どうしたの、十波。顔真っ赤だけど」


七ちゃんに頬を両手で挟まれる。


「なっ…何にもないから!2人の演技見て恥ずかしくなっただけだよ!」


「確かに、見てる方もドキドキするよね」