【十波side】


怖い。


このまま新ちゃんとあとりちゃんがどうなってしまうのか。


私には何も関係のないことなのに、内で何かが軋んでいる。


「誰か、教えてよ」


放課後、もう日は落ちてあたりは暗くなっている。


家には、遅くなるとだけ連絡を入れ、重たい足を懸命に動かしてここまで来た。


表札には『九重』の文字。


「来ちゃった…」


意味の分からないあの言葉。


話したい事があるならその場で言えばよかったのに、わざわざ私を家に呼んだ。


「あ…」


上を見上げると、窓から新ちゃんが覗いていた。


『上がってきて』


唇がその形に動くのを合図に、扉に手をかけた。