結局、私は演劇大会には出演しなくていいらしい。


「十波ってつくづくバカだよね」


拗ねてしまった私を回収に来てくれたのは、やっぱり七ちゃんだった。


しかも、そのあとこっぴどく叱られた。


「何でもあとりちゃんの言いなりになってんじゃないの!」


嫌だったら、嫌って言ってもいいんだから。


「そんなこと言われたって……」


出演が取り止めになったのは、あとりちゃんの策の内なんだろうし、今更どうにも出来ない。


「練習は始まってるの?」


「今日からだって。新也くんが部活に行きたいのにってごねてるらしい」


時間稼ぎなのかな、と七ちゃんが呟いた。