「十波、行くぞ」


ふらつきながら歩いている十波を、しっかり支えながらもう一度二階へ上がる。


「うぅ……」


変なうめき声をあげるな、と言いたいけど、病人相手に強くは出られない。


「お前が寝たらオレは帰るぞ」


「うん」


ホントに分かってんのか?


部屋に着き、ベッドにごろんと横になる十波。


「おやすみ」


十波がそう言った瞬間、一気に疲れが押し寄せてきた。


「また手、握ってるし…」


今日あった事は、十波にとって一大事だったんだろう。


(明日からフォローしていかないとな…)


紅真たちの間に何があったのか、もう少し詳しく聞きたいし。


「ん……、」


寝苦しそうに、寝ているのに眉間にシワがよっている。


「あ……やは」