クーデレ君と微妙な関係

十波の母さんが作るごはんは、非の打ち所がないくらいに完璧だった。


見た目も、味も、全て。


「ありがとうございました。美味しかったです」


「こっちこそ、色々とありがとうね」


可愛らしい笑みを浮かべる。


「十波をここまで持って帰って来てくれて」


「持って帰るって……」


確かに持って帰って来たけども…。


「それは、おれからも礼を言っておく」


テレビに目をやったまま、理玖が恥ずかしそうに言った。


「このシスコンめ」


小さな声で呟いたのが、どうやら聞こえてしまったようで、


「てめぇ、今なんつった?」


「こら、理玖。そんな口きかないの!」


皆でワーワー騒いでいると、眠そうに目をこする十波が下りてきた。


「なにしてんの……新ちゃん」


寝起きのせいか、いつもより声がむにゃっとしている。


(可愛すぎだろ……)


なんつーか、無防備?


「ごめん、騒いで悪かった。もう帰るから、ゆっくりしとけよ」


ありがとうございました、と帰ろうとすると、制服の袖が遠慮がちに引っ張られた。


「イヤだ、帰らないで……」