【十波side】



高校で進級できるってこの上ない幸せだと思う。

あー、私一年頑張ってきたんだなぁって。


「ねー十波、この漫画の主人公の自己紹介笑える。『私、○○』だって!今どきこんな雑な紹介の仕方あるんだねー」


向かいから漫画を片手に歩いてくる女の子。


「七(なな)ちゃん…そこは放っておいてあげようよ…。作家さんも大変なんだから…。あと、マンガ読みながらの登校は危険です」


「導入から面白くないマンガが面白いワケがない!十波は分かってない!」


「分かったから、とりあえず早くクラス発表見に行こうよ」


「はぁ。そうだね」



でもクラス替えはいらないと思う。

一年頑張って築き上げてきた人間関係がぶち壊される悲しさったらない。



そのせいか、緊張で夜もあまり眠れなかった。