しかし。

それは思ったよりも早く、彼女が来た日と同じく唐突にやってきた。   

彼女がここに住み着いてから、1ヶ月と半分がたっていた。

その日は日曜日。

皆でいつもより遅めの朝食を摂った後、俺は日経ビジネスに目を通していた。

燈子は近頃疲れ気味らしく、俺の横、ソファの上にパッタリと倒れている。

こんな非日常が続いているのだ。
気丈に振る舞ってはいても、無理をしているに違いない。

……実際いい女だよな、燈子。

そんなつもりで選んだ訳じゃあなく、転勤が決まった時、寂しさのあまり勢いでプロポーズしてしまっただけだったが……

後悔したことは1度もない。


こんな特殊状況を作り出した俺に、後悔すべきはむしろ彼女の方だろう。



フユキはマツコの腹にくっついて、TVの前で2人仲良く日曜アニメを鑑賞をしている。

呑気なやつらだよ、まったく。


そんな時だった。


 ♪ピンポーン♪


ふいにインターホンが鳴った。


なんだよ、こんな朝早くから…

苦々しく思いながらも、

「いいよ、俺が行く」

ヨロヨロと起き上がろうとする燈子をと留め、俺はテーブルに雑誌を置いた。