彼女が自ら、俺の寝間着のボタンを外しにかかった。

熱に浮かされたようにトロリとした目で俺を見上げて。

つられた俺も、汗ばんだ手で彼女の着衣を剥ぎ取っていった。

近頃は、行為に及ぶ時だって服を脱がなかった。
イイトコロで、きまってうちのボウズは目を擦りながら、
『トイレ』
などと出てくるからだ。


愛し合う。

新婚時代にすらなかったほどに情熱的に睦み合う。

発情期の獣みたいに、狂ったように
互いの不安を舐めあいながら抱き合った。

「…っ、ゴメ…」
「いやっ」

そろそろ限界に達した俺の背中を彼女はぎゅっと抱き締めた。

「やっ……最後までっ!」

彼女が小さく叫んで___


俺は、彼女の中に吐精した。


クルリと背中を丸め、余韻に耐える彼女を胸に抱き締める。

丸い背中をトントン叩いていると、か細い声で彼女がポツリと言った。

「…あのヒトにも、こんな風にしたのかな」

「……しないよ」

小さな身体を、折れるほどに抱き締めた。

「しないから」

彼女の顎に手を掛けて、力ずくで上向かせると、再び狂ったように口付けを交わす。

「しないから…絶対に」

そうしてまた。
互いが疲れて果てるまで延々と、明け方近くまで浅ましい交わりは続いた…