「今は夏です。専務」 
センザキがひどく冷たく言い放った時。

カチャリ。

堂林秘書が頭を抱えながら部屋に入ってきた。眉間には深い苦悩の皺が刻まれてる。

「お、どうだった?堂林」

「ええ…それが……」
堂林は、胸ポケットから聞き取りメモを取り出し、早口で話し始めた。

 
「彼女『カノン』さん。源氏名ですね、本名は『梅野松子(ウメノマツコ)』さん。25歳のコンパニオンさんです」

「えらい古風な本名だな。で?」
「…ハイ。実は…妊娠4ヶ月に入っているそうでして」
「あっそ。
……ってなんだよその目は」 

俺をイヤな目つきで睨んだ堂林は、スウっと息を吸い込んで、一気に言い放った。
 
「専務。先方は貴方のお子様だと仰有っております」

「ハッハッハ。何だ、そうか。それでパパ。俺はてっきり………って」


エエエエエエエエッ‼‼‼


「ちょ、ちょっと待て、堂林。俺はそんなコトをした覚えは全くないぞ?大体さっきの女性だって初対面で……」