バタンッ。

ドアが乱暴に開いて、人がドドッと2、3人雪崩れ込んできた。

堂林と2人して呆然と眺めていると、その先頭にいた、おおよそ昼間の会社にそぐわないギラギラの派手な女が、こちらをみてニパッと笑った。

「…会いたかった……大神サン…」

え…?

彼女は制止する社員を物凄い力で突き飛ばした。

「大神サンッ‼‼」
「うげっ!????」  

彼女は怪獣の如くドドドと走りより、俺の首に抱きついた。


辺りがしん、と静まった。


「おおお、落ち着きたまえ、一体コレは…⁉
こら、堂林っ、何とかしろっ‼」

どきついコロンの香りを漂わせながら、頬に濃い口紅の唇をくっ付けようとする女を、3人がかりでやっと引き剥がしてもらう。

「き、君は一体誰だ!」

拘束された彼女をビシッと指差して言い放つと、彼女はキョトンとした顔をした。

「やっだぁ、忘れちゃったのお?パ~~パ♥」

「パ?」

ズルッと肩から上着が落ちた。

冷ややかな、部下どもの視線が突き刺さる。