勝ち誇った笑いの下で、片方の手が唇をなぞった。

「ね、貴方の望みを…叶えてあげるわ、赤野燈子に言わないわ。
何でもしたげる…だから…」

彼女の指が、ネットリと下腹を撫でる。

「フフっ、よく回るお口でモットモなこと言っても身体は正直ね…もうこんなに…」

「や、やめろ…」
健全なだけだ。

「偉そうにね、どいつも皆最初は言うの…
いやってほど聞いたわ。
『家族が一番』『オシドリ夫婦』
嘘ばっかり!
私がちょっとツツいたら、みんな壊れちゃうくせに。貴方も…ね」

形勢は一挙に逆転した。
俺は彼女を見上げて懇願する。

「…壊れやすいからこそ、当人逹には貴重なものなんだ。今の俺もそうだ。
頼むから、帰ってくれないか」

「ダーメ。身体にキッチリ聞いてあげる。さあ、イザめくるめく、官能のセカイへ‼」

「い、イヤん‼そこはダメっ」

助けて、女にオソわれる‼

上位からのキスを避けると、彼女は頬に唇を押し付けた。