正にその時。
奥のリビングではーー

大神秋人が、板倉愛美とやり合っていた。

「やっぱり………全っ然分からない!」

ドカッ。

俺は、油断したのだ。

不意を突かれ、マトモに食らった彼女渾身の体当たり。

「ぐわっ」
ダチョウのようなヘンな声を上げて、俺はラグの上にうつ伏せに倒れ込んだ。

「な、何をする!」

すかさずマウントの姿勢をとる板倉。
チラリと見せたガーターベルトの食い込んだ白い大腿に、思わず目が行き慌てて叛ける。

「ど、どきなさい」
「イ~ヤ!」
見下ろす瞳が欲情を煽る。
美しく飾られたネイルの指が、首筋から胸をゾワっとなぞる。

身を任せたい欲を押さえて、その手首をやっとのことで捕まえた。

「どけ。乱暴なマネはしたくない」

「ううん。貴方はプライドにかけて、女性に力を振るわない」