「う~ん、そうですよね…」

確かに彼は、何でも出来すぎるくらいやる人だから、自分自身のコトくらい苦もなくやるに違いない。

「トーコは鈍いから。陣痛きたって絶対分からないからネ。
大神さんは忙しいんだから。もし何かあったら、どうしょうもないでしょ⁉」

里帰りを決めたのは、母親の強い勧めがあったからだ。
どうも私は、母親にさえあまり信用されていないらしい…
 
女3人の午後の昼下がりは、賑やかしくて、のんびりまったりした時間。

…いいなあ、こういうの。
東京のマンションに一人でいるのとは大違いだ。

こんなに家でのんびりとしたのは、一体いつ頃までだっただろうか。

ふと、気になった。

「ねぇ。由梨子義姉さんは、実家に帰ろうとは思わなかったの?」

「え…」

昼メロのストーリーを追うのに夢中で、会話を適当に聞き流していた由梨子姉さんは、突然鋭く反応した。

恥ずかしそうに赤らんだ頬を両手で覆い隠す。
「……私ね、蒼士クン(兄)と離れ離れになるなんて、考えられないもの~」

「ホー、離れ……離れ」

私が顔色を失ったのを察したのか、母親が慌ててフォローを入れた。