「うわぁ…すごい。よく調べたんだぁ……私のコト」

パチパチと2、3回ほど拍手をし、冷めた目つきで皮肉に笑む。

渇いた笑みには逆に凄みと意趣があった。

「そっちが本性かい?」
負けじと彼女に笑いかけるが、それを一顧だにしない。
 
「……貴方に責められる筋はないわ。そっちも似たようなもんでしょ、泣かされた娘はいっぱい知ってる」

「似たようなつもりは……ないけどね」

「…ま、いいわ。もう面倒なブリッコは要らないし、手っ取り早い。
私、貴方が気に入ってるの……私が嫌い?」

「イヤ……率直な女(ヒト)は好きだよ、少なし、これまでよりもずっといい」

今一度、視線が絡み合う。

俺はスーツの上着を脱いだ。

小さくて少し下の厚ぼったい、ピンクルージュの艶やかな唇が、淫靡な笑みを浮かべた。
「来て」

彼女の身体にゆっくりと覆い被さった。 

項(うなじ)に掛かった髪を掻き分けると、甘い毒が全身に回り、みるみるうちに痺れ出す。