ならば!

「あ、あ、あ……」

梯子の上段に上った私、わざと足踏みしてバランスを崩した。

「⁉…大丈夫か…君」

気付いた大神常務がサッと席を立つ。

「あああ…」

なおも梯子で足踏みしながら、
彼が足下に辿り着く頃を見計らい、
飛び付くように倒れ込んだ。

「ああんっ…」

「うわっ…」

私をシッカリと抱き止めた彼は、床に後ろ向きに倒れ、私が乗り上げた形になった。

彼がゴクリと喉を鳴らす。
“オイシソウ”って顔してる。

さあ、しっかり吟味なさい。
一目で3サイズを言い当てるその眼力でこのボディを。

「す、すいませぇぇん、常務」
恥ずかしげに俯いて、ウルウルと瞳に涙を浮かべると、

「い、イヤいいんだ…あ~、怪我はないか」
彼は戸惑いを隠せない。

次の瞬間、2人の視線が絡み合った。

「君…」
「大神さ……」

とその時、近くの小学校の正午のチャイムが聞こえてきた。

ハッと彼が真顔に戻る。

「いかん。君ちょっとどいて」

サッと私を横にやり、ゴソゴソ下から抜け出していく。