だからこそ、余計に赦せない。

赤野燈子のあの、幸せにフヤけた間抜け面。

私、一番嫌いなの。
妻ってだけで大した努力もしないモッサい女、子供生むからって愛されて当たり前だと思ってる女。
 
その妻のご機嫌取りに、仲良しアピールする男。

見てなさい、2人とも。

私が目を覚まさせてあげる。


その時、ベンチの大神秋人が急に振り返ったので、私は慌てて頭を引っ込めた。

「秋人サン?何かいました?」
「いや……気のせいか」


フー、危ない。私としたことが、ちょっと張り切りすぎたみたいね。


 
…板倉愛美、その熱意を仕事に向ければ、トップレベルのキャリアになれたに違いない。