どさくさに紛れて、少し目立ってきた腹を撫でてやると、中のガキに強く蹴られた。
(触んな!)
頭の中に響く声。

燈子は『ナ・イ・ショ』と教えてくれないが、こいつ絶対オトコだ。
間違いない。

生誕前から奪い合いを始めるとは、サスガ俺の子。
…でもな、オマエはまだ生まれてないんだからな。

その時点でオマエの敗けだ!

さらにしつこくナデナデすると、今度はしんと動かなくなった。

勝った。

燈子は、愛情表現だと勘違いしたらしく、嬉し恥ずかしそうに身体を凭れかけてきた。

「…お医者さんに言われたんです…『ダンナ様が甘やかす奥さんに多いんデスよ』って…キャッ」

「…甘やかした覚えはないが…しかし心配だな…」

「それを甘やかしているというのでは?」

彼女の呆れたような視線をスルーし、俺はひとつの案を提示した。

「…仕方無い。昼休みに会社のそばの運動公園まで出てきなさい。
……俺が付き添ってやろう」

「エエッ⁉い、いいの?お仕事は?」