⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】

さらに時は進むーー

眠ってしまった燈子を膝枕に乗せ、ヨシヨシしていた俺に、酔眼の熊野が我慢しきれない様子で訴えた。

「…オマエらが “仲良し、かつシアワセ”なのは、よぉ~く分かった」

「いいだろ、ウラヤマしいだろ」

ヤツは“チガウ!”と首を横に振った。

「だけどな、大神。
男として…なにかが許せん。それでいいのか九州男児!
オマエが……ニヤけてんのが気持ち悪すぎなんだよっ、ヒトとして情けねえよ。ええ?」


「…しっ、静かに。燈子が起きてしまう」

人差し指を口にあて、荒ぶる熊野を嗜める。


「…いいじゃないか」

幸せそうな夢の中、膝上でふにゃっと笑っている燈子。
その顔に掛かった栗毛を、人差し指に巻き付けて弄ぶ。


「……この表情(かお)がな。
ツマらん俺のプライドに優先すると……この頃いつも思うんだ」

熊野のヤツは、諦めとも安堵ともつかない奇妙な顔をした。