⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】

ひと悶着はあったものの。

「良いことだらけじゃないか…それをなんで後悔なんか…」

俺は大きく息を吐き、間を置いてから話し出した。

「…だってよぉ、人間から人間が出てくるんだぞ?マトリョーシカみたいにさあ。
燈子がパカッと割れて、ガキが誕生したら…
元にもどるのか?還らぬヒトになったらどうする。
ダメだ…ガキと2人で取り残されるなんて。とても耐えられそうにない…」

「オマエはバカなのか?」

「秋人サン…」

燈子は俺の手をギュッと握りしめた。

「ご安心を!燈子はエイリアンじゃありませんから。
赤チャンは頭からは出てきません!」

「燈子…それは本当か」
「秋人サン…燈子は…燈子は死にません!」

ヒシと抱き合う。

潤んだ瞳で俺を見つめる彼女が、あまりにも可愛いので、次なる行為に及びかけた時、

「うぉっほん!」

わざとらしい咳払いが聞こえた。

「あ…居たのか」
「やだあ♥秋人サンったらあ」
「………」