「ううん、ゴメン。
俺、頼まれてさ…マッちゃんの様子、ずっと親父さんに伝えてたんだ。
出ていく前の大喧嘩、ずっと後悔してたんだよ。『モデルの夢を応援してやりゃ良かったんだ』ってさ。
ね、どうして?
俺にまで黙って姿を消すなんて…
相談してくれたら俺…」
全くだ、俺より先にそっちに行くべきだろうが。
「…………」
彼女が黙りこんでしまったから、それっきり場は沈黙に包まれた。
と、花岡くんが何かを決意したようにぐっと眉根に力を入れ、口をぎゅっと引き結んだ。
力強く彼女の両手を握りしめる。
「……マッちゃんにお願いがあるんだ。
俺を、
お腹の子供のパパにならせてよ」
マツコは俯いたまま首を振った。
「はあ?…何…バカなこと言ってるの。
トシくんは子供の父親じゃないよ?
この子ね、
誰の子供か分かんないんだよ⁉
そんなこと出来るわけが…」
彼は決然と首を振った。
「できるさ。
俺、君の望む背の高いシャレたイケメンなんかじゃ全然ないけど…
君を想う気持ちだけは誰にも負けないつもりだからさ」
「簡単に言わないで!
愛せないよ…他の男の子供なんか。
虐待とか……世の中にはいっぱいあるじゃん、そんなの私はイヤ……あ…」
言い切りかけた彼女は、真直ぐに見つめる彼の視線に、ハッとして言葉を止めた。
「愛せるよ、マッちゃんの子供だもん。
俺、それだけは自信ある。
ちょうどオヤジさんが…君をそうして育てたように…」
「……っ…トシくん…」
彼女はもう、反論しなかった。
彼の手を握り返すと、怖々と胸に寄り添った。
「…トシくんは、お人好しだから……そゆこと言うと思ったから…だから私は…
あなたから逃げたんだよぉ…」
少女のように震える肩を、彼はぎこちなく抱きしめた。
………
俺としちゃあよ。
このメロドラマを早いとこ切り上げて、さっさと2人とも俺の家から撤退して貰いたいところなんだが。
隣をチラッとうかがうと、トーコはハナミズまで垂らして号泣していた。
全くもって
……カワイイヤツだ。
俺、頼まれてさ…マッちゃんの様子、ずっと親父さんに伝えてたんだ。
出ていく前の大喧嘩、ずっと後悔してたんだよ。『モデルの夢を応援してやりゃ良かったんだ』ってさ。
ね、どうして?
俺にまで黙って姿を消すなんて…
相談してくれたら俺…」
全くだ、俺より先にそっちに行くべきだろうが。
「…………」
彼女が黙りこんでしまったから、それっきり場は沈黙に包まれた。
と、花岡くんが何かを決意したようにぐっと眉根に力を入れ、口をぎゅっと引き結んだ。
力強く彼女の両手を握りしめる。
「……マッちゃんにお願いがあるんだ。
俺を、
お腹の子供のパパにならせてよ」
マツコは俯いたまま首を振った。
「はあ?…何…バカなこと言ってるの。
トシくんは子供の父親じゃないよ?
この子ね、
誰の子供か分かんないんだよ⁉
そんなこと出来るわけが…」
彼は決然と首を振った。
「できるさ。
俺、君の望む背の高いシャレたイケメンなんかじゃ全然ないけど…
君を想う気持ちだけは誰にも負けないつもりだからさ」
「簡単に言わないで!
愛せないよ…他の男の子供なんか。
虐待とか……世の中にはいっぱいあるじゃん、そんなの私はイヤ……あ…」
言い切りかけた彼女は、真直ぐに見つめる彼の視線に、ハッとして言葉を止めた。
「愛せるよ、マッちゃんの子供だもん。
俺、それだけは自信ある。
ちょうどオヤジさんが…君をそうして育てたように…」
「……っ…トシくん…」
彼女はもう、反論しなかった。
彼の手を握り返すと、怖々と胸に寄り添った。
「…トシくんは、お人好しだから……そゆこと言うと思ったから…だから私は…
あなたから逃げたんだよぉ…」
少女のように震える肩を、彼はぎこちなく抱きしめた。
………
俺としちゃあよ。
このメロドラマを早いとこ切り上げて、さっさと2人とも俺の家から撤退して貰いたいところなんだが。
隣をチラッとうかがうと、トーコはハナミズまで垂らして号泣していた。
全くもって
……カワイイヤツだ。



