幸せになりたい






「ここで話すか?」

「こちらとしては聞かれてはいけない話をするわけではないので大丈夫です。」

私はそう言って総長席の隣に置いてあった二人掛けソファに裕也とともに座った。

「その前にそちらさんは?智也からなんとなく聞いてはいたがちゃんと会うのは初めてだからな。」

「俺はKSグループ社長補佐の南沢裕也と申します。あなたは伊川グループ次期社長伊川千寿さんですね?」

「ああ。」

私たちが仕事の話をしている間もずっと智也さん以外の視線を感じた。

「じゃあ、正式に資金を援助してもらえるのは来年の4,5月でいいんですね?」

「ああ。それで通しておく。」

伊川先輩は話が終わると傍らに彼女を呼び寄せた。

「俺の彼女で婚約者でもある渡辺結衣_ワタナベユイ_だ。」

「初めまして。私は金代つぼみといいます。こっちは南沢裕也です。裕也は私の彼氏です。」

「初めまして。渡辺カンパニーの社長令嬢で渡辺結衣です。あなたはどんな身分の方ですか?」

「身分...ね。いまどきの言い方ではないけど私は金代組組長でKSグループの現社長です。」

私がそう言うと幹部室がシーンと静まり返った。

「つぼみ、あのKSグループと金代組の組長だったのか!?俺と廉と楓の憧れの組なんだよ!!将来は金代組で働くから待っててくれよ!」

直人はそう言って、幹部室を出て行った。

「つぼみ、今更なんだが少し訂正してもいいか?」

裕也がこのタイミングで声をかけてきた。

「いいよ。」

「俺はつぼみの彼氏だけじゃなくて婚約者でもあるんだからな。」

裕也はそう言った。

今、そこ!?

相変わらず嫉妬深いな。私としてはすごくうれしいけど。

「そ、そうだね。」

「私としたことが!すみません。失礼な態度を取ってしまいました。」

渡辺結衣は謝った。

生粋のお嬢様なんだろうな。

「気にしないでいいよ。」

私はさきほど入ってきたときに直人の隣にいた女の子を見た。

その子も私を見ていたようで目があった。

「あなたは?」

「私は、直人君の彼女の宮野奈美と言います。よろしくお願いします。あの、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

ん?なんだろう。

「直人君はつぼみさんのことを呼び捨てにしていましたけどどういう関係だったんですか?」

「ああ、そっか。奈美ちゃんは私がここの姫をやめてから来たもんね。」

「?は、はい。」

「私はここの元姫で直人とは同じクラスだっただけだよ。」

奈美ちゃんの安心した表情を見ると、きっと嫉妬してたんだな。

私が抜けてからずいぶんといい子が入ってくれたものだ。

しかも見た目も純粋って感じでかわいい。

姫は今2人なのかな?

「姫はもう一人いるぞ。智也の許嫁だ。最近日本に帰ってきて俺らと同じ高校に通ってるんだ。もうすぐ戻ってくるんじゃないのか?」

伊川先輩が言い終えたと同時にドアが開いた。

「智~ただいま~。つかれたよぉ~。」

一人のふんわりした女の子が入ってきた。

その女の子は帰ってきたと思ったらすぐに智也さんに抱き着きに行った。

「こら、七海。俺のことは智って呼ぶなと何回言ったらわかるんだ。」

智也さんは怒りながらも敬語を崩しているところを見ていると七海ちゃんにだけは心を完全に許している感じだった。

「え~だって智の方が呼びなれてるんだもん。」

七海という女の子はそう言って智也さんに微笑みかけた。

「あれぇ~?初めて見る顔だぁ~。あなたはだぁれ?」

七海ちゃんは私と裕也の顔を見て言った。

「初めまして。私たちは智也さんの直属の上司だよ。」

私はそう言って裕也の腕に私の腕を絡めた。

「そうだったんだぁ。いつも智がお世話になってます。」

七海ちゃんはふんわりとした雰囲気を持ちながらも礼儀はちゃんと身についてるようだった。

きっとその雰囲気を作ってるのは七海ちゃんの話し方とその容姿なんだろうな。

奈美ちゃんは黒髪ボブで整っている顔だけど、七海ちゃんはキャラメル色の長髪に天然パーマだ。

ここにはいい女の子ばかりが姫として入ってくるんだろうな。

「そう言えば葵はまだ彼女を作れないのか?」

「いや。この間転校してきた女の子に一目ぼれしたらしく今はその子と付き合ってるよ。その子とつぼみだけには女嫌いもないみたいで。でもその女の子は緋向の姫にはなりたくないらしいんだ。私は廉くんと一緒にいたいだけだからだとさ。」

楓はそう言って女の子と電話をし始めた。

「楓は相変わらず、複数の女の子となんだね。」

「もちろん。」

楓はそう言って女の子のところへ遊びに行った。