「伊川グループは次の代になってから莫大な金額を援助してくれるそうだ。そのことだけは頭に入れておいてくれ。」

「はい。」

「今日はこれで解散だ。」

今回の組長会議は簡単に終わった。

私は伊川先輩と仲直りしているから裕也を連れて緋向に行くことにした。

「裕也、今から緋向に行くんだけどついてきてくれない?ついでに叔父さんのみなみさんのところにも行くの。」

「ああ、わかった。」

私は裕也の腕に私の腕を絡め、玄関まで歩いて行った。

「今日は裕也の車で行くんだよね?」

「ああ、そのつもりだが?」

「道わかる?」

「ああ。俺も昔は族に入ってたからな。敵だった奴らの倉庫くらいわかる。」

裕也は車のエンジンをかけた。

それから10分ほどして緋向の倉庫の前に車を止めた。

「おい、だれだ?」

車を降りたところで族の下っ端だと思われる男の子に声をかけられた。

「伊川先輩はいるかな?」

私がそう言うと男の子は怪しげな表情になった。

「いますけど。あんた誰だ?」

「元姫だよ。」

私はそう言って男の子の横を通り過ぎ、倉庫のドアに手をかけた。

「裕也、行くよ。」

「ん?ああ。」

裕也はそう言って私の手を握りドアを開けた。

ドアを開けると、下にいた人達の視線が私たちに集中していた。

「あいつら、誰だろう?」

何度かそんな声が聞こえたが、私たちは気にせず幹部室につながる階段を上がって行った。

新しく入った子がいっぱいいるのかな?

私のこと知らない子は前だったらいなかったはずだもんね。

「失礼しまーす。」

私はそう言って、幹部室の扉を開け中に入った。