幸せになりたい






裕也に言われた通り急いで朝食を済ませ、鞄を持った。

「いくぞ。」

裕也は私の手を握って歩いて行った。

私はてっきりいつも通りヒデの車に乗るのかと思っていたが、いつもヒデがとめていたところにヒデの車はなかった。

「これからは、俺が運転する車に乗ってもらうぞ。もちろん、ガラスは全部防弾用にしてある。」

裕也はそう言って私を車の助手席に乗せた。

「シートベルトちゃんとしろよ。」

裕也は運転席に乗り、エンジンをかけた。

「行くぞ。」

それから会社に着いたのは会議が始まる30分前だった。

「今日の会議は俺も社長補佐として出ることになっている。」

裕也は会議の資料と企画案を持って先に会議室に入って行った。

私も後に続いて会議室に入ると、先に来ていた智也さんと会った。

「社長、こちらは?」

「今日から私の補佐役になった南沢裕也さんです。」

「どうも、南沢裕也です。あなたは?」

「俺は、副社長の影乃智也です。」

裕也も智也さんもお互いに営業スマイルであいさつをしていた。

それから会議が始まるまで裕也に今までに出た企画案や内容を説明しておいた。

会議が始まるとみんなそれぞれに考えてきてもらった企画案を出してもらい、どの案にするかを決めた。

昨日のうちに裕也が考えていたらしい案に決定した。

会議が終わり、社長室で決定した企画案についてまとめていると、誰かが社長室のドアをノックした。

「どうぞ。」

私は机の上から目を離さずに返事をした。

「失礼します。」

そう言って入ってきたのは裕也だった。

「なんだか疲れているみたいだね。」

裕也の顔を見てみるとなんだかげっそりしていた。

「初日だから大変だったとか?」

「いや、仕事は普通にできてるんだが、会社の女達が寄ってきてな。」

「そっか。裕也はかっこいいからね。」

私がそう言うと裕也は寄ってきて私を抱きしめた。

「俺はお前がいいんだけどな。」

裕也の言った言葉に鼓動が速くなっている。

やっぱり私は裕也のことを好きになったみたいだ。

「この会社にはいい子がいっぱいいるのに?」

私がそう聞くと裕也は抱きしめる力を強くして答えた。

「俺にはお前以外考えられねぇよ。」

私はその言葉に飛びあがるほどうれしくなった。

「ありがとう。社長室でいう言葉ではないけど、私のことをこんなに考えてくれてる裕也のことを好きになったみたい。」

私がそういうと裕也は一度私をはなして顔を見た。

「本当か?」

「うん。」

私が返事をするともう一度強く抱きしめた。

「こんな俺を好きになってくれてありがとう。俺は組長にもなれないし、仕事もつぼみの手伝いくらいしかできないけど、精一杯お前を支えるよ。」

裕也はそう言って私と向き合い、キスをした。

息が続かなくなり、少し口を開けると隙間から裕也の舌が入ってきた。