私が仮眠をとってから約2時間ほどが経っていた。

「組長、飯の時間です。」

ドアの向こうからそう声が聞こえ、私は起き上がった。

もうご飯か。

「わかった。」

電気を点けて部屋を見回した。

なにも変わっているわけないか。

まあいいや。とりあえず、ご飯を食べて仕事をしよう。

食堂に近づくにつれて、なんだか騒がしいような気がする。

「遅れてごめん。食べようか。」

私はそう言って自分の椅子に座ろうとしたが知らない人を見つけ、声をかけた。

「お前は、誰だ。」

私がそういうとその問いにはおじい様が答えた。

「この人はさっき言っていた縁談の相手だ。南沢組の次男だ。」

「よろしくお願いします。南沢裕也_ミナミサワユウヤ_です。年齢は24歳です。」

南沢さんは丁寧に私にあいさつをして、笑顔を見せた。

「...よろしくおねがいします。けど、どうして南沢組の次男が?」

「前につぼみさんを見かけたときに一目惚れしまして。南沢組にこの縁談が来たときに俺が行くと決めていました。」

「そうですか。」

私は裕也さんの話を無視して席についた。

「いただきます。」

さっきはこの人がいたから騒がしかったのか。

「おいしい!これって誰が作ってるんですか?」

裕也さんはいくつかの料理を食べてすごい笑顔になった。

「うちの組員で順番に回してます。」

「そうなんですか!うちは料理人がいたけどこんなにおいしくはなかったな。」

「そうなんですね。」

私がそう答えると、おじい様と目が合った。

「これからもしお前達が籍を入れることになったとしたら、傘下に南沢組が入ることになるだろう。そうなれば、金代組はもっと強くなっていくはずだ。」

おじい様は私達が結婚することを前提として話しているような気がした。

政略結婚でも悪くないかもね。

今はもう恋愛感情がないけどそのうちこの人に対して抱くかもしれないしね。