幸せになりたい






「今から姫の紹介を始めます。」

影乃先輩はそう言って私のほうを見た。

「こんにちは、このたび緋向の姫になりました安元つぼみです。
自分の身は自分で守れるので私のために命を懸けないでください。」

私がそう言うと倉庫内は呆然としていた。

「はははははっ!!!」

静かな空気の中に場違いな笑い声が聞こえた。

笑い声のした方を見ると伊川先輩が笑っていた。

「だとさ。全員こいつのために命を懸けることはしなくていいぞ。こいつは本当に強いから。」

伊川先輩はそう言って私に向かって微笑んだ。

「よしっ。これにて解散!同盟を組んでいる族の総長、副総長は今から幹部室に集まるように。」

伊川先輩はそう言って幹部室に入っていった。

「つぼみも...来い。」

そう言ったのは女嫌いの葵だった。

「わかった。」

葵の後ろに付いて幹部室に入っていった。

病院から持ってきた自分の荷物を幹部室の端の方に置いた。

どこに座ればいいか迷っていると

「つぼみはここに座れ。」

伊川先輩は自分の隣に置いてある椅子を指差した。

「わかりました。」

その椅子の後ろをのぞいてみると姫と刺繍がしてあった。

椅子に座ると同時に続々と幹部室の扉が開いて人が入ってきた。

全員がそれぞれ席に着くと伊川先輩が話し始めた。

「改めてこいつが姫になったつぼみだ。
それとこの紫の髪をした奴が紫蘭の総長で來斗_ライト_、その隣に座ってるのが副総長の朱音_アカネ_だ。紫蘭には主に情報収集をしてもらっている。」

「よろしくお願いしますね。」

そう言って私に向かって微笑んできたのは來斗さんだった。

「よろしくお願いします。」

朱音さんは私の方を見て会釈をした。

常に笑顔で私は何か違和感を抱いたが、何もわからないのでとりあえず後で調べておくことにした。

そのあとも総長、副総長が次々とあいさつをしていった。

同盟を組んでいる族の中にはレディースもいるようでもろヤンキーといった格好をしている女の人もいた。

「一か月ほど前に麻薬や人身売買などをしていた毒牙が黒羽に潰されたのは知っているな?こちらとしては都合が良かったが後ろに付いていた兼城組が黒羽を血眼になって追っているそうだ。」

「で、どうしろと?」

「俺たちも黒羽を探すんだ。そして黒羽を引き入れる。」

私は内心驚きながらも平静を装っていた。

「どうやってですか?俺達紫蘭も黒羽のことを何度も調べましたが、ガードが固くて手も足も出ませんでした。」

「あいつを使う。」

あいつ?誰だろう。