それから退院までの一か月間、毎日緋向の人たちがお見舞いに来た。

トランプを持ってきたり、私が読みたいと言っていた小説を買ってきてくれたりと私が退屈しないように毎日いろんなものを持ってきてくれた。

そのうちに緋向の人たちに対して抱いていた偏見もなくなっていった。

「やっと退院だな。」

伊川先輩が片付けをしている私にそう言った。

日向の幹部は伊川先輩以外みんな倉庫にいるそうだ。

つまり今は、私と先輩の二人きりなわけだ。

先輩のことが好きな女の子からしたらすごくうれしいんだろうな。

「はい、そうですね。ずっとベッドで生活してたから体が訛ってます。」

私は少し冗談めかしてそう言った。

「お前は強いからな。帰ってからあいつらと殺りあえばいいんじゃねぇの?」

伊川先輩はそう言ってニッコリ笑いかけてきた。

整った顔立ちの先輩に微笑まれるとやっぱり絵になるなぁ。

私がそう考えているともうまとめ終わった鞄を伊川先輩は持って病室を出て行った。

「先輩!自分で持てますよ!」

そう言うと先輩は後ろを振り向いて

「俺は鞄を持つために来たんだ。」

そう言って先輩はエレベーターに乗り込んだ。

「ありがとうございます。」

私は素直にそう言ってエレベーターに乗り込んだ。