つぼみside
部屋に入っていったところまでは覚えているが、そこから先の記憶がなかった。
手術の次の日は平日だったにもかかわらず、朝から海人さんが訪ねてきた。
「起きてたのか、体は大丈夫か?」
「はい、迷惑かけてすいませんでした。」
海人さんは持ってきてくれた花を花瓶に生けてからベッドわきの椅子に座って問いかけてきた。
「どうしてあんな大怪我を負っていたのか教えてくれないか?」
「...族同士の抗争に巻き込まれて流れ弾に当たりました。」
ここら辺で抗争がなかったのはきっとわかってるはずだけど私は苦し紛れの嘘をついてしまった。
「そうか。医者によると全治一か月だといっていた。しばらく安静にしてろと言っていた。」
「...わかりました。」
しばらく仕事はできないか。
「緋向でのあいさつは治ってからでいいよな?」
「あ、そうでしたね。わかりました。」
「今日学校が終わったら、あいつら全員見舞いに来るらしいぞ。」
「そうですか。」
なんだか今日の海人さんはよくしゃべるな。