なんで好きになっちゃったんだろ


教室に行き、奈々子と話して、席に座る。



今日からは普通に5時間や6時間…。

(長いなぁ…)


とりあえず半日を終え、昼休みに。


いつもなら奈々子と机をくっつけて食べるけれど、今日は部活のミーティングがあり、部室で食べるらしい。


もちろん、クラスで仲がいいのは奈々子だけじゃないが、どこも仲良しグループはできている。

(まぁ、別にひとりはきらいじゃないし、早く食べて、新しく買った小説でも読もうかな!)


と、1人で黙々と食べていると、


「あれ?上田さん1人?」


「安田君!!うん。奈々子、ミーティングなんだって!」

「そうなんだ!」

お弁当を食べながら昨日のカラオケなどの話をしていると、急に視界が真っ暗になった。

「ひゃ!え、え?なに?え?」

1人パニックになっていると、後ろから聞き覚えのある笑い声が…


すると、パッと視界が開け、振り向くと…………

「修司〜。」

「ごめんごめん!びっくりした?って、おい、もしかして卵焼き食ってた?」

「そーよ。卵焼き食べてたわよ。でも誰かさんのおかげで味わうことなく飲み込んだわよ!!」


「ご、ごめんって。怒るなよ?な?」

「全く。まぁ、今回は許したげる。けど、次は無いからね!!!」

「ふう……」

そう、あたしは卵焼きが大好物なのだ。
卵焼きを食べてる時ほど幸せを感じるものはない。

そのひとときを修司なんかに邪魔されるなんて……
と思いながらもう一つの卵焼きを食べる。

(ほわぁ…我ながら上出来。美味しい〜)

とにやけていると、

「も、もう怒ってないか?ほんとごめんな」

「もーいいよ〜」
卵焼きのおかげでご機嫌のあたし。

よくわからないけど、あたしは怒ると怖いらしい。なんか、笑顔で怖いことを述べるって言ってた。

「上田さんって、卵焼きが好きなの?」

おっと、安田君にまでふにゃけた顔を見せてしまった……

「うん!!1番好き!!」

「そうなんだ〜」


「あ!それより修司!なんかあたしに言いに来たんじゃないの?」

(いくらなんでも脅かすためにきたわけじゃないはず…)


「あ、そうそう!危ない、、忘れてた」

「ほら、俺さ、今アレじゃん?んで、そのー……」

「わかってるよ!明日から作ってくね!夜も大丈夫だから!」

「!!!穂乃花様様だよほんと!!まじでありがとう!」

「はーいよ!」
じゃあな!と言ってどこかへ消えて行った。

(ホントに調子がいいんだから…)


実は修司は今、1人暮しをしている。

本家の大きな家だと学校が遠いし、及川グループから離れるために、アパートで暮らしているのだ。それも、フツーの。


でも、ケンカをすると仕送りが止められてしまうらしい。

家賃や光熱費、食費も大変なことになる。

だから修司はたくさんバイトをして、
いつこうやってケンカをして仕送り無しでも平気なように貯金をしているのだが、
この前もケンカをしたばかりでまだそんなに溜まってなく、
食費まではしっかり回らないらしい……

こういうことはよくあったから、その度にあたしがお弁当作ってあげたり夜ご飯に招いてあげたりしている。

つまり、餌付けしてしまったようなもの。


(だって、育ち盛りで食べ盛りの男子を見捨てるわけには行かないじゃない?)


まぁ、料理は好きだし喜んでくれるからいいんだけどね……


「……上田さん、明日から修司のお弁当作るの?」

「え?あ、うん!そうなの!」

「へぇ、いいなぁ」

「え?」

「いや、上田さんのお弁当美味しそうだなって思ってさ…すごい上手だから上田さんが作ってたなんてびっくりだけど」

「そんなことないよ〜!あ、良かったら安田君のも作ってこようか?」

「え!?いいの!?」

「うん!もちろん!2つも3つも変わらないしね!」

「すごい嬉しい。でも、さすがに毎日は悪いから週に1回とかのペースでお願いしようかな。」

「全然気にしなくていいのに!
でもわかった!じゃあ明日持ってくから、毎週木曜日持ってくね!」


「すっごい嬉しい。ありがとう上田さん!」

「うん!頑張るね!!」
そういってガッツポーズをすると、
ホントに嬉しそうにして席に座っていった。

チャイムが鳴り、午後の眠い授業の始まりだ…