~白と黒の世界~
「レイアバルクとウィルビウス、ソルストロークから切り離す……手を貸せ」
「うん……」
2人は手を繋ぎ空いた手の周りに譜陣が現れた。
リ「黒と」
デ「白の」
リ「融合術」
デ「切り離し」
リ.デ「異界の扉よ今こそ閉じる時、ここに現れろ」
白と黒の間に大きな扉が現れ、
リ.デ「世界レイアバルクと我々の世界との扉を閉ざす!」
そして、開いていた扉が閉じた。
「懐かしいね2人で術を使ったの」
「うん…懐かしい」
「もうそろそろ、いいんじゃない?……干渉すること滅多にないんだし……」
「そうだねぇ!んじゃあ、ディアンカ言葉戻す!」
「うん。その方が僕は話しやすい」
「そー?んじゃあ、戻すよー!これからどうする?リュクリエ?」
「そうだな……。んじゃあ、僕ももどすよ。あの野郎今度会ったらあいつを殺す!」
「あははは!そうだねそうだね!殺そ殺そ!」
「ああ。これからどうする?あの野郎の世界に色々とぶちまけたが…」
「行ってみる?」
「それもいいが…僕らの世界が……」
「タイム・ストップは?そうしたら、世界の時間が止まって僕達の世界のヒトをも止まる…よ?」
「その手があるか……。賛成しよう」
「懐かしいね!リュクリエが賛成するなんて!いっつも僕が賛成してるから……」
「ああ。たまにはディアンカの意見にも賛同しなくちゃ…あれだろ?僕だけの手柄の様になってしまう」
「……うーん。そうなのかなぁ……。ま、いいか!時を止めよ!」
「だな!」
リ.デ「我々の世界樹よ今答えよ!」
「セカイの王…か……我々ミオマは応えよう」
「ミオマ……」
「僕達2人の世界の真ん中に位置する世界樹……」
「我々、姿無い。レイアバルクに見つかる事、ソナタ達のヒトにも見つかる事は無い。二つの種子……我々を実らせた」
「僕達が産まれてミオマが?」
「ああ。我々、二つの種子の弟」
「ねぇ、ミオマには姿ないの?」
「さっき言ったように我々の姿は無い。きっと君達の弟、我々は君達に似ているだろう…」
「僕から質問いいか?」
「よい」
「世界樹ミオマは星がないのか?」
「我々の星は、ウィルビウス・ソルストロークの繋ぎ目そのもの。姉達の世界の理により繋ぎ目として果たしている」
「理か……」
「理って?」
「我々が説明しよう。それぞれの理の中で共通点がある…もちろんレイアバルクにも。その中の姉たちの世界の中で結ばれた理に『レイアバルクからそして、他にロストの負を二つの世界に流す』こと。その負を供給する所が我々の仕事。理により産まれた」
「へぇ。今、レイアバルクとこっち切り離したけどさぁ、どうなってるの?」
「切り離してもそれは世界だけだ。負は世界とは関係ない」
「なら、大丈夫そーだね!」
「ああ。……」
「どうかしたか?」
「いや、ミオマは二つの世界の管理はできるのか?できるのなら僕達の世界の時間を止める必要は無い」
「我々は負の管理が主だ。そこまでの管理は難しいと考える。だが、時間を止めてしまえば負の行き先が消える事になってしまう」
「ロスト…は?その世界なら負を受け付けると聞いた」
「今のロストでは機能しない」
「なぜだ?」
「ロストを作った者がロストで戦乱を起こしている。その戦乱を抑えるために他の星から切り離してしまったからだ」
「切り離しても大丈夫なんじゃ…?」
「無理だ。我々の理と彼女がつくった理が違いすぎるのだ。…切り離したと言ったが世界の機能を閉じたと言った方がわかりやすいか?」
「世界の機能を閉じた…だと?」
「それじゃあ、負が消えて、その世界…消えちゃうよ!」
「それは、我々の世界の理。彼女の星は負があってもなかろうとも自分の意思でしか消えることは無い。ただ、負が無い……と」
「僕の世界の住人の様に…ということか?」
「リュクリエどういうこと?」
「僕の世界の住人は知っての通り、負徒(ふと)だ。もしもロストもだとすると……?」
「リュクリエの世界では負徒だけど…その負徒が消える…?」
「そうだ。ロストの住人は滅ぶ運命になっただけ…だと我々は考える」
「住人のいない…世界か……。考えるとなんか寂しいねぇ。思ったけど、誰と戦ってるのぉ?」
「姉だと聞いた」
「姉妹の戦いか…」
「喧嘩?それともぉ……」
「喧嘩も混じっていると…。だが、ロストをつくった彼女は死ぬ運命だったと…」
「……どうせ死ぬなら姉と記憶をつくってという所か?」
「そこまではわからぬ。我々は非物質体。様々な世界に行く事はできるが、ロストは不可能だ」
「理…世界を切り離したせいか」
「理はあまり関係はない」
「なぜだ?」
「環境が、違い過ぎるからだ」
「そうか…」
「小難しい話しは置いてさぁ〜、ロストがダメなら僕達の世界を止めるのはヤバイじゃん…どーするの?」
「…我々から提案だ。時を止めても負を流す事にすれば問題は無い。時間を動かしながら我々が負の管理までとなるとかなりの負担になってしまう。ならば、時だけを停止させ、負を流し続ける手ならば我々の負担は軽い」
「方法は?やり方がわからねば話にもならない」
「まずは、時を止め世界が全て止まったことを確認する。そして、世界樹だけを稼働させ我々と再び繋ぐ。これならば……だが、時間が少しかかってしまうがな」
「どれほどだ?」
「レイアバルクの時間で言うのなら、丸2日位だろう」
「……どれくらい浸食出来るかなぁ?丸2日で」
「さあな。ディアンカは地を…僕は空からの浸食……2m辺りかもしれんな」
「この方法で良いのか?」
「ああ」
「これしかないならぁ、やるしかぁないしょ?」
「……承知した」
「時を止める……」
「時を止めるだけなら簡単だが、世界樹と繋ぐこの時間にかかる……」
「僕の世界も時が止まっちゃえ!」
白黒の世界が明るく照らされていたかのように明るく、白と黒がわかる世界から薄暗くなった。
「時は止まったようだな」
「ヒト達が止まるのはもう少しだよぉ……僕の世界はまだヒトは存在してないからぁ生き物達だねぇ~」
「僕の世界は時が止まり全てが止まったことを確認。世界樹だけを稼働させる作業に入る」
「……稼働にはそこまで時間はかからぬだろう」
「僕の世界も生き物すべて止まったよぉ!世界樹を動かさないと」
「ゆっくり慎重に行うのだ。リディカルトにバレては大変だ」
「ああ。それくらいわかっている……後もう少しだ」
「もう終わるよ」
しばらくして、薄暗くなっていたここら1面が再び明るさを取り戻した。「では……ここからは我々の番だ。姉達よ……気をしっかり持ってくれ……種子である姉達にも少しあるかもしれない」
「ああ」
「もちろんよ!」
「……創双生以来か…。このような力を使うのは……。なまっていないと良いのだが」
「ミオマ…無理はするな……創双生時も……」
「創双生といえば、負を僕達二つに分け与えるための時だっけ?」
「ああ。その時我々は必要とされ誕生した。……我々はこちらに集中したい」
「わかった。できるだけ言葉は慎むさ」
「ありがたい」
「……リディカルトは何やってんだろぉ……。僕達の譜陣に手間取ってるかなぁ」