「どうして泣いてるの…?」

ナイテル?

そう言われて数秒後、頬を伝う何か熱いものが何なのかを自覚した。

「…何でも…無い…。」
本当の馬鹿は私じゃなかろうか。
手で拭っても拭っても留まる所を知らないそれは、後から後から溢れつづけた。

それは数年分の感情だろうか。それとも自分の愚かさに対する悔しさだろうか。それとも…。

私は両手で顔を覆いしばらくの間泣き続けた。

肩を震わせ、しゃくり上げながら。

こんなに泣いたのは何年振りだろうか。しかも他人の前で。

伊村さんや名城くんなんてまともに話すのは今日が初めてなのに申し訳ないじゃないか。
そんな風に思いながらも後から後から溢れるそれを留めることは出来なくて




―すぐ隣に感じる津川さんの温度が暖かくて、心地良かった。