「……あれ…???」



微かに目が開く鹿目。



白い天井が見えた。



「ここは…」



病院のようだ。


酸素マスクがされていた。


手を動かそうとしたが、ずっと寝ていたせいか、体が固まってまだうまく動けない。


微かに体温を感じた。握られていたせいもあった。


ふと横を見ると、彪賀が鹿目の手を握ったまま、

椅子に座ってうつ伏せでうたた寝していた。


「……彪賀…さん?」


ぴくっと手が反応する。


ゆっくりと上げた顔の、目が泣き腫らしていた。


髪はボサボサで、うっすら髭が伸びている。


「……安在…?」


ぼーっとしたまま。
寝起きで状況がわからないようだ。


が、


はっ!!と、体を起こすと、


「……安在……???」


掌で顔を包み、まじまじと見つめる。


「あ、安在?!気が付いたのか??!!」


横になった鹿目の顔に頬を擦り寄せた。


「安在!!安在!!!」


「髭、いたい、痛いです」


「うるせえ!!うるせえよ!!!バカ野郎!!心配させやがって!!」


包帯を巻いた鹿目の顔をもみくちゃにして号泣する彪賀。


「痛いですってば、もう……彪賀さん…」


言いながら、子供のように泣きじゃくる彪賀の髪を、よしよしと撫でた。