力だけは自信があった。 そしてなぜか、したこともないのに外し方がすぐわかった。 ぐう…? と、うっすら気が付いた。 「もう、大丈夫だよ」 優しくいうと、タオルで血の出ている足を縛る。 「鹿目っち、逃げた方が…」 目の前で食いちぎられるのを見たくもないし、 巻き添えを食いたくもない。 じりじりと後ずさりながら、小絵は、来た道を走って逃げてしまった。 助けを求めに行ったわけでもなさそうだ。