「…先輩の紹介で。断れなかったんだよ」


事務所から借りてきた救急箱で、休憩室で手当てされながら。


傷は思ったほど深くないようで、病院にいく必要もなさそうだ。


血を拭き取り、消毒液を塗ってガーゼを当てる。


「でも、タイプだったから、少しくらいは付き合ったんですよね」


他のスタッフは仕事をしている時間で誰もいなかった。


ぱん!!
と包帯を巻き終わった手で叩く。


「いって!!お前なあ」


うん?と、


「…もしかして、妬いてくれてんのか?」


嬉しそうに。


「おめでたい人ですね、本当に」


う~ん、と唸る。
鹿目がますますわからない。


「投げれそうですか?明日ですよ。もう」


「なんとかなるだろ」


頭を掻く彪賀。


「…リベンジマッチ、ですね」


はあっ!!となる。


「忘れてた…お前のご両親、来るんだよな」


いろいろな意味で複雑だった。