「そういえば鹿目さん、最近、急に可愛くなったから、恋でもしてるんじゃないかって、みんな言ってますよ」


「そ、そうなの??」


初めて言われたようで、赤くなる鹿目。


「相手、彪賀さんはないと思いますけど。って」


どういう意味だよ、と、
ちっ、と舌打ちする。


「眼鏡じゃないだけでも印象変わりますよね。髪染めてみたり」


「さ、作業しづらいし、見えにくかったから。髪は気分で」


機械の裏を覗くこともあるので、不便は不便だ。


「ひ、彪賀さんとなんて、あるわけないじゃないですか」


「ですよね。似合わないし」


グサリと刺され、言葉をなくす。世間のイメージはそうなのかと。

確かに、さっきのイケメンや、クマオの方が似合っている気はした。


「もういい……帰るわ」


ずしんと肩を落とした空気に、


「明日また、練習しますよ」


さすがに言い過ぎた、と、
フォローのつもりで言ったが、


重い空気のまま無言で出ていった。翌日の練習には来なかった。