彪賀が、鹿目を抱き締めた。


「えっ?えっ??」


「やっぱりダメだ…惚れた。どストライクなんだよ、この野郎」


言って抱き締めた手を離し、眼鏡を外す彪賀。


「ほらな」


何も見えない。


わずか30㎝前の顔も、鹿目にはぼやけていた。酔いが回っているせいか、目が潤んでいた。


大きな両手で頬を挟み、


「俺のこと、嫌いか」


彪賀の目も潤んでいた。


「うっ、…わかりません…」


嫌いではない。


でもなんだろう。クマオのときより、きゅん、とした。


「俺は、好きだ」