「あの男、どうする気だ?」
仕事が終わり、歓迎会で近場の居酒屋の座敷で。
何杯目かのビールを持ち、ピッチャー片手に勧めて回る彪賀。
もう酔っているのか、顔が赤らんでいる。
体の割に弱いのか、回るのが早い。
鹿目はといえば、顔色ひとつ変わらない。強くはないが顔には出にくい。
酔うと、ただにやにやし始める。人の話を聞き、箸が転げただけでも、へらへらと見ている。
口数も増えない。
「弟ですか?」
「お前…!そう来たか」
とりあえずは、シスコンの弟が姉を追いかけて田舎から出てきたことに収まった。
「似てませんよね」
酔いの回った小絵が、頬を赤らめまた余計なことを口にする。
「父似なの!」
もう何とでも返せる。
「じゃ~あ~、私に譲ってくらさいよ。お姉さま。イケメンくんだしぃ」
この小娘が。
散々警察だ、関わりたくないだ言っといて。と、
にこにこしながら、むにゅうっと頬をつねる。
「いひゃいれすぅ、おねえさま」
言いながら、ふにゃんとなり、潰れて寝てしまった。
「はいはい、小絵さんはこっち、ですよ」
別の同期の男に介抱される。
「小絵、ずる~い!御厨(ミクリヤ)くん、私も介抱してよぅ」
結局、中途採用組は、20代5人、30代5人に別れ、
今どきの可愛い顔立ちをした御厨も、若者組のアイドルと化していた。
「俺も、反対だぞ。このままお前んところにいさせるの」
「仕方ないでしょう?出ていかないんだし」
「ちょっと来い」
「はい」

