翌日。


移動の決まったゲームセンターで、お昼休憩中の鹿目の携帯にメールが入った。


彪賀からだった。


『クマオが逃げた』


と。


「えっ…」


あのまま大人しく迎えられるとは思っていなかったが、


早すぎた。


休憩室は、店舗入り口の奥、カウンターの横のドアから入った、通路のさらに奥。


景品倉庫の脇にあるので、防犯ため鍵をかけていた。


ドンドンドン!!


ドアを叩く音に、ビクッとなる鹿目。


「なに!?なに!?」


慌てて飛び出すと、激しく息を切らしたクマオが立っていた。


「……いややって!!いうたやんけ!!」


「はい!?」


「け、警察、呼びますか?」


何ごとかと飛んできたスタッフに恐る恐る聞かれ、


「あっ、いや、それはいいです。すみません!大丈夫です」


言うと、外へ押しやる。


「ここで騒いじゃダメでしょう!?なんで来たのよ!?」


声を抑え、怒る鹿目。


「せやって、会いたかってんもん…」


泣きそうな顔でふて腐れる。


「えっ…」


ずいぶんストレートな告白に、こんなときなのに、きゅん、となる。


それなりに生きてきて、それなりに恋愛もしてきたが、


生まれて初めてかも知れなかった。異性にこんな風に言われたのは。


「と、とにかく!今日は帰って!仕事中だし迷惑だから!」


「もしやその人ですか?」


「し、主任…」