野薔薇姫

恐る恐る自販機さんの陰を除くと、案の定誰かいた。


「アノゥ、ドナタデスカ?」


こうなってしまった以上、私は日本語ワカリマセーンで誤魔化そうとした。


「なんで片言になったんだ?」


真っ暗闇だから顔も見えない。姿が確認できたのは自販機さんから漏れ出す人


工的な光でやっと輪郭が見えたからだ。


「イマ、ワタシニホンゴレンシュウシテマシタネ」


「ふん、で?」


「イヤ、ダカラケシテジハンキサントシャベッテタワケジャナイノネ」


「随分と喋れるようだし。それで騙せると思ったの…?」


語尾に黒ーい笑いがつけられたようです。


そろそろ怒られますでしょうか。ここは潔く謝ることといたしましょう。