野薔薇姫

「お金…」


学校帰りの私はなぁんに持っていない。バックには教科書とかそこら辺が入っ


ているだけであと不要なものは何も入っていないのだ。


7月後半なんだから、夏休み中に決まっているではないか。なのに、学校は本


日も私を学校へ引きずり込んだ。


午前中だけだったし、家に直で帰る予定だったからお財布を忘れたのだ。


「自販機さん、奢ってくれないよね」


自販機さんの目の前に立ってそう問いかけると、「ブーン」と音を立てた。そ


うだよねぇ。