野薔薇姫

枕替わりにしたカバンはいつものと比べると寝心地がいいとは言えないけどわ


がままは言ってられない。


「おやすみなさい…」


独り言を言うと目を閉じる。あんまり眠くなかったけど、目を閉じるとすぐに


深い暗闇に意識を吸い込まれた。


「おやすみ」


誰かが独り言に返事をしたけど彼女がそれに気付くはずが無かった。


その声の主は公園のツツジの生け垣の隅に物音一つせず隠れた。