野薔薇姫

「そっか。気をつけて。3時を回ると変な奴が出てくるらしいし」


「教えてくれてありがとね。明梨は帰るの?」


「ん。せめてなんか隠れた方が安全だよ」


「そうするわ。また逢えるといいね。じゃあね」


「またね」


随分と穏やかな男の子だった。今まで関わってきた中で一番理想に近い人だっ


たと思う。勿論一目惚れとかじゃないよ。でもいい人そうだなと思っただけ。


急に静まり返る公園はなんだか寂しさを覚える。ふと、さっきまで彼がいた自


販機さんの陰を見ると、いつの間にかだも誰も居なくなっていた。